製品を効率よく安定して製造するために「金型」は必要不可欠な存在です。
そんな金型はいったいどのように作られているのでしょうか?
いくつもある金型の種類をはじめ、金型が幅広く利用される理由を解説します。
金型とは?
金型とは名前の通り「金属で作られた型枠」のことです。
種類によって違いはありますが、代表的なものは上下で一対になっている金型に溶かしたアルミや樹脂を流し入れて挟み込む形成方法です。
金型を利用することで、同じ形の製品を大量に作ることが可能となりました。
金型の種類
ほぼ均一な厚みの物を加工するのに適している。
主な製品:自動車、家電、雑貨などの部品
厚みがあり、強度が必要な製品の加工に適している。
主な製品:自動車のクランクシャフト・オートバイ部品・ジェット機のファン
●鋳造用
型の自由度が高いため、複雑な形状の加工に適している。
主な製品:工業用部品・建設機械部品・農業機械部品
●プラスチック用
プラスチック材料を加工するのに用いられます。
射出成形、圧縮成形、真空成形、移送成形、吹込成形などの分類があります。
主な製品:テレビ、OA機器などの家電製品
ガラス材料を加工するのに用いられます。
厚みのある皿や鉢など成形に適している押型とガラスの特性を活かした吹込型があります。
主な製品:ウイスキーやビールなどの酒瓶・照明器具部品、食器
●ゴム用
ゴム材料を加工するのに用いられます。
直圧成形、直圧注入成形などがあり、工業用部品、自動車部品、履き物などの製品で使用されます。
主な製品:タイヤ・キーボード・靴
金型製作の流れ
① 見積り |
まず、打ち合わせと見積作成から始まります。 見積りは、打ち合わせ時に顧客から提出された仕様書や図面、3Dデータをもとに作成されます。 打ち合わせ時に問題点などを事前に聞いておき、見積りと一緒に改善策を提案することが一般的です。 |
② 設計 |
顧客から提出された図面データをもとに金型の設計図を作成します。 金型の構造や型割りなどを決定し、設計図が完成したら加工に必要なプログラミングを行います。 品質・生産性・コストパフォーマンスを高めるためには、この段階での打ち合わせは重要です。 |
③ 荒加工(前加工) |
荒加工は金属の塊に大きな穴を開けたり、切り込みを入れたりして歪みを取り除く作業です。 金属の不要な部分を削って仕上げ加工しやすくする「荒取り」という作業も併せて行い、その後に熱処理とマシニング加工を行います。 |
④ 細部の加工 |
荒加工の最後に行うマシニング加工は複雑な加工を行うことが可能ですが、それでも全ての加工が行えるわけではありません。 マシニングではできない加工を放電加工やワイヤカットといった方法で細かい加工を行います。 |
⑤ 動作確認 |
実際に金型で成形した部品や各部位が設計通り動作するかどうか確認します。 動作確認で問題がなければ金型は完成となります。 |
金型のメリット
自動車、家電のように大きな製品から瓶や食器など日常生活で手にするものまで、様々なところに金型を利用した製品が溢れています。
それだけ世の中に浸透している金型のメリットとは具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
最初に金型さえ作ってしまえばあとは材料を型に流し込み、固めるといった単純作業を繰り返すだけで製品化することが可能です。そのため、短い期間で生産することができます。
●大量生産できる
前述したように、金型ができてしまえば材料を流し込むだけの作業となるため、その繰り返しで製品を大量に生産することが可能となります。
●コストを削減できる
大量生産が可能になることにより、材料を一括で仕入れて単価を下げることができます。
また、ひとつひとつ生産するとかかってしまう膨大な時間と人件費を削減できるうえ、作業ミスによるコストロスも防げます。
同一の金型と材料を使用すれば、全く同じものが出来上がります。
数ミリのズレも大きな影響を与えかねない、精密機器の部品でも金型は多く利用されています。
このように、金型には多くのメリットがあります。
初めに金型を作ってしまえば均一の製品が大量に生産できるからこそ、この最初に作った金型に間違いがあってはいけません。
金型の試作の段階でしっかり調整することが重要となります。
さいごに
ものづくり大国だからこそ実現できる技術があった日本の金型技術は、海外から高い評価を受けてきました。しかし、近年では下請け工場などが増えた影響もあり中国や韓国でも急速に技術を高めています。
今となっては、なくてはならない存在の「金型」をうまく利用することで企業の生産力をあげることができるのではないでしょうか。