液晶パネルには映し出す方式に種類があり、その方式によって映像の映り方も変化します。
また、液晶パネルの進化系とも言える「有機EL」のディスプレイも近年増えています。
いまだからこそ知りたい!液晶パネルの基礎知識から各パネルのメリット、デメリットまでご紹介します。
液晶パネルとは
液晶ディスプレイや液晶テレビの画像を表示する部分のことです。
液晶パネルは、いくつもの部品がサンドイッチのように重なって構成されており、その層状の後ろからバックライトと呼ばれる光を当てて、映し出されています。
液晶パネルには3方式ある?
液晶パネルは、駆動方式によってTN・VA・IPSの3方式があります。
それぞれのパネルの特徴についてご紹介します。
① TN方式 (Twisted Nematic)
別名「ねじれネマティック液晶」とも呼ばれる、TN方式。
電圧をかけると液晶分子がねじれ、そのねじれから光を遮断したり通過させたりして画面に明暗をつけています。
メリット | デメリット |
---|---|
価格が最も安い 応答速度が速い | 視野角が狭い 発色や色の表現に弱い |
コンマ1秒の操作が求められるような格闘ゲームやシューティングゲームに適しています。
② VA方式 (Vertical Alignment)
VA方式は、液晶分子が垂直になったり水平になったりすることで光を調整して画面の明暗を作っています。
メリット | デメリット |
---|---|
黒の表現に強い コントラストに優れている 液晶寿命が長め | 応答速度が遅い |
広い視野角に加え、はっきりしたコントラストと黒の引き締まった映像が得意なので映画やドキュメンタリーを楽しみたい方におすすめです。
③ IPS方式 (In Plane Switching)
IPS方式は、ガラス面と平行方向に液晶分子を回転させ、バックライトの光の量を調整しています。
メリット | デメリット |
---|---|
発色が良く、色表現が豊か 視野角が最も広い 色ズレが少ない | 全面的に白っぽくみえることがある 価格が高め |
色彩表現に強く、色ズレも少ないため、イラストや動画の作成または写真の編集に向いています。
どのタイプにもメリットとデメリットがあり、得意とする分野に違いがあります。
各項目の比較一覧を下記に掲載します。どの製品にするか迷った時の判断基準のひとつとしてご活用ください。
価 格 | (安い) | TN < VA < IPS | (高い) |
速 度 | (遅い) | VA < IPS < TN | (速い) |
視 野 角 | (狭い) | TN < VA < IPS | (広い) |
色 彩 | (弱い) | TN < VA < IPS | (強い) |
黒 表 現 | (弱い) | IPS < TN < VA | (強い) |
有機ELは何が違うのか?
液晶パネルは重なった部品層の後ろから光を当てて映像を映し出していますが、有機ELの場合は層内にある有機材料が発光します。
そのためバックライトが不要となり、その他にも不要となる部品層ができ、薄型かつ軽量化が可能となりました。
(白色の有機材料をバックライトとして使用し、カラーフィルターを通して映し出す方式もあります。)
メリット | デメリット |
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高画質 視野角が広い 軽くて薄い | 価格が高い 消費電力が多い パネル寿命が短い |
メリットが多く、液晶パネル各方式の「いいとこ取り」といった印象ですが、本体価格がまだまだ高いうえに消費電力が多く、ランニングコストも高いというのが現状です。
パネル業界の今後
自ら発光する発光ダイオードが登場したことでパネル業界はさらに発展を続けています。
有機ELで実現した薄型・軽量の次は小型化が進んでいます。
その小型化を実現する新技術として注目されているのが「マイクロLED」です。
マイクロLEDは有機ELのメリットはそのままにしながらも、無機物を使用することで消費電力が低く、パネル寿命を長くすることを可能にしました。
しかし、やはりデメリットとして残るのが高コストという点です。
従来のディスプレイに使用されていたLEDと比べてマイクロLEDは約1/100も小さいため、どうしても大量のLEDを使用する必要があるのです。
一般家庭への普及を実現させるためには安定した生産とコストを抑えることが課題です。
マイクロLEDの火付け役となったCrystal LED Displayを製品化したソニーをはじめ、国内でも東レや信越化学工業など各社が開発を進めているパネル業界の今後に期待が高まります。
さいごに
有機ELやマイクロLEDなど次々と開発が進んでいるパネルですが、コスト面や安定した生産などを踏まえると液晶パネルがまだ主流となっています。
ご紹介した通り、ひとことで液晶パネルと言っても3種類の方式があります。それぞれの方式にメリット・デメリットはありますが、使用する環境や目的によって製品を選択することで満足度が変わるのではないでしょうか。
また、パネル製品の製造をお考えの方は企画製品がどういったシーンで使用されるのかを考慮して、使用するパネルを選択されてみてはいかがでしょうか。